この記事にはカミツキガメを捌く(さばく)過程の画像が含まれています。また、血や内臓といったグロテスクと捉えられるものが含まれているため、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
今回は、カミツキガメのさばき方・解体方法について現地で〆るところから解説していきます。
- 食べてみたいけどさばき方が分からない
- 解体するのにどんな道具が必要なの?
といった疑問がある人に向けて書きました。
カミツキガメに関する注意事項:外来生物法
カミツキガメを食べようなんて考えている物好きは当然のように知っているとは思いますが、一応確認しておきます。
カミツキガメは環境省によって「特定外来生物」に指定されているので「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(通称:外来生物法)」によって生きたままの運搬が禁止されています。
捕獲したその場で絶命させれば持ち帰って食べることができるので、カミツキガメを食べようと思っている方は必ずその場で絶命させてください。(できるだけ苦痛を与えないように配慮することが望ましいです)
カミツキガメのさばき方
【手順➀】必ず現地で絶命させてから運搬する
先ほども言いましたが、特定外来生物に指定されているカミツキガメを持ち帰って食べる際は、現地で〆る必要があります。必ず絶命させた状態で持ち帰りましょう。
確実に絶命させる場合は、首を落とすのが確実です。
「出来るだけ苦痛を与えないように首を落とす方法」を真剣に考えた結果、「太枝切りバサミ」に辿り着きました。
よく研いだ出刃包丁などでも構いませんが、アカミミガメの首を落とす時に刃が欠けてしまうという経験があったので大型のカミツキガメの骨を切断するには不十分だと思います。
甲長14㎝のカミツキガメに対しては、太枝切りバサミを使うことで、一瞬で首を落とすことができました。
おそらく甲長が30㎝サイズのカミツキガメでも同じように切断できると思います。いずれ試します。
自分は、野食をする際に最も気を遣うのが絶命の瞬間です。痛覚を感じる生物の時は時に考えることがあります。しょせん人間のエゴですが、苦痛を感じさせない絶命方法についてはずっと考えていきたいと思っています。
出刃包丁では一瞬で首を落とすことは出来ない
後日、甲長20㎝のカミツキガメを捕獲できたので、よく研いだ出刃包丁で首を落としました。しかし、太枝切りバサミと比較するとやはり少し手間取ります。
一瞬で首を落とすためには、今のところ「太枝切りバサミ」が有効であると言えるでしょう。
【手順➁】甲羅や手足についた泥を流水で落とす
さばいている最中に肉を汚さないようにするため、事前に水洗いするのをおすすめします。
【手順➂】背甲と腹甲の接合部分を切断する
カミツキガメの面白いのは、甲羅の接合部が柔らかいところです。甲長が14㎝程度のカミツキガメであれば、小型ナイフのみで切断することができます。
カミツキガメを縦にして、体重を乗せながら刃を入れていくと上手く切断できます。
甲長20㎝以上の場合、ハンマーがあると便利
甲長20㎝の個体の接合部は少し分厚いので、小型ナイフだけだと切断が難しいです。
切っ先を入れ、ハンマーで打ち付けるようにすると楽に切断できます。
【手順➃】腹甲をナイフで取り除く
甲羅の接合部を切断できたら、腹甲の縁を取るようにしてナイフの刃を入れていきます。
皮を張りながらナイフを入れると切りやすくなります。
腹甲を取り除くとこんな感じです。勇者の盾みたいなパーツが入手できます。
【手順➄】内臓を包む膜に穴をあけて内臓を取り除く
先に肉を取り除く方もいますが、個人的には内臓を取ってからの方がやりやすいです。
内臓は膜に覆われているので、その膜を指で破きましょう。難しい場合はナイフで切っても構いませんが、内臓には破いたらいけない「胆のう」「膀胱」といった臓器があるため気を付けてください。
内臓を包む膜を大きく開いていくとこんな感じになります。
「胆のう」や「膀胱」を破かないように、消化管をナイフで切断して内臓を取り除くと3つのパーツに分けられます。
綺麗に並べるとこんな感じです
これは甲長20㎝の個体をさばいた時に撮った写真です。肺や肝臓、膀胱、心臓、消化管、腎臓などの臓器を並べました。
肝臓、心臓などは食べてみようと思います。
胆のう
肌色の肝臓に中に埋まっている黒っぽい玉が「胆のう」です。破くと苦い汁が出てくるため、苦玉とも呼ばれています。肉に臭いがうつると最悪なので絶対に破いてはいけません。
膀胱
おしりの方についている袋状のものです。中にはおしっこが入っているため極力破かないようにしましょう。
【手順⑥】前脚部分にナイフを入れ甲羅に沿って切り離す
次は、前脚の肉をとっていきます。前脚の皮と甲羅の接着部分にナイフを入れ、甲羅に沿って切り進めていくと綺麗に剥げます。
首の骨だけを残すとこんな感じになります。
首の骨は出刃包丁でボキっと叩き折って切り離しましょう。
【手順⑦】尾を握って頭側へ強引に引っ張る
次は後脚の肉を取っていきます。前脚と同じようにナイフで切り離すのが無難だとは思いますが、今回のミニサイズカミツキガメは尾を掴んで引っ張るだけで剥がせました。
大きいサイズのカミツキガメになるとこんな力技も通用しないと思います。ただ、結構時間短縮になるので、小さいカミツキガメには有効かと。
後脚の肉を取り外すとこんな感じです。
大型の場合は、ナイフで切断しましょう
小型のカミツキガメは後ろ脚ごと強引に引っ張ることで外すことができましたが、甲長20㎝の個体では同じことができませんでした。
脊椎を除く周りの肉を全て切り離してから、最後に脊椎をナイフで切断しましょう。
【手順⑧】後ろ足と尾をズバン…ッ!
尾には、総排泄腔につづく消化管の欠片が残っています。エグイ臭いを放つ糞の残りなどがあるため、必ず取り除きましょう。
【手順⑨】尾を切断して消化管の残りを取り除く
画面中央の白いのは消化管の残りです。
消化管に沿って、消化管を切らないようにポイントをずらし切断します。
右側の肉片に紛れ込む白っぽいのが消化管の残りです。
【手順⑩】カミツキガメの解体終了
これでカミツキガメの解体は終わりです。同じ外来種のアカミミガメと比べると肉量が2倍近くあるのでカメの中では食用向きといってもいいのではないでしょうか?(カメの中では…ね。)
肉の水気を取り、冷凍保存して終わり
すぐに調理しない場合は、肉の水気をキッチンペーパーでしっかり取り、ジップロックに入れて冷凍保存しましょう。
同じ甲長14㎝のアカミミガメと比較すると肉量は2倍くらい多いですね。
甲長20㎝個体の肉量
甲長20㎝のカミツキガメから取れる肉量は、14㎝の1.5倍以上はありました。2人前といった感じでしょうかね。
最後に
今回はカミツキガメのさばき方・解体方法について解説しました。
次回は食べ方について記事を書きます。こうご期待
おわり