この記事にはエイを捌く(さばく)過程の画像が含まれています。また、血や内臓といったグロテスクと捉えられるものが含まれているため、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
今回は、堤防の外道として有名な「アカエイ」の締め方やさばき方についてご紹介します。
アカエイには尾に鋭い毒針が付いているため、刺されないように十分注意してください。
エイの食べ方はこちらの記事で紹介しています
まずはアカエイを捕獲する
道糸にPEライン4号以上、ショックリーダーにフロロカーボン18号、丸セイゴ針16号(メジカツオ針、チヌ針などでも代用可能)などの仕掛けに豆アジ付けて堤防に放り投げておけば釣れると思います。(自分は釣れました)
海面に対して足場が高い場所で釣りをしてしまうと、大物がかかった際に大変苦労します。(というかクソデカいタモ網かマグロ用のギャフでもない限り竿のみの引き上げは不可能)
スロープになっている船着き場や砂浜などは引っ張って引き上げられるのでおすすめです。
場所の都合上、どうしても足場が高い場所で巨大エイの引き上げを行う必要のある方は、ギャフの購入をおすすめします。
イカ用の小さなギャフではなく、長い柄のついた大型魚を想定したギャフがあると安心です。
大手釣り具メーカーのDAIWAから良さそうなものが出ていたのでリンクを貼っておきます。
アカエイの締め方と血抜きについて
エイも脊椎動物なので、脊椎を切断すれば絶命します。
初見ではエイの急所が分からなかったため、目と目の間に出刃包丁を刺してみました。
体重をかけて深く刺したところ、エイの身体が大きく反応し、おそらくエラや口から砂を吐き出しました。
その後すぐに動かなくなることはなく、噴水孔が激しく膨らんだり縮んだりしたのを確認しました。
エイの生体反応が確認されなくなったのは、片方のヒレを切り離したタイミングです。
ネットにエイの締め方に関する情報があまり載っていなかったので、今回は実験的になってしまいましたが、目と目の間に包丁を刺した際にあきらかに動きが鈍くなりました。
その後も息があったのか、単に反射として動いていたのかは分かりませんが、今後はできるだけ一瞬で絶命できるように方法を模索していこうと思います。
また、今回は行わなかったのですが、血抜きをする場合はエラの部分に出刃包丁で切れ込みを入れると良いかもしれません。
最初の段階で血抜きを行わないと、ヒレを切り離した際に身が血に染まってしまい、アンモニア臭さが気になるので、余裕がある場合は血抜きを行うべきです。
アカエイのさばき方
まずアカエイの体内構造として、体の真ん中に内臓が詰まっていて、ヒレの部分と肝(肝臓)は食べることができます。
先に締める話をしましたが、一番最初は毒針がついた尾の処理です。
アカエイの毒針に含まれる毒はタンパク質系の毒成分なので60℃以上の熱で分解されますが、釣り場で刺されると対処法が制限されるので、刺される前にちゃんと切断して処理しましょう。
毒針の切断方法ですが、自分はカミツキガメの時にも使用した太枝切りバサミを用いて安全に一瞬で切断しました。
エイの尾を切り、締めて血抜きしたら、これら2つの部位を捌いていきます。(順番はどちらでも構いません)
【手順➀】ヒレを切る
裏と表の両方からさばいてみましたが、表(背中側)を上にしたほうがエイが安定してくれたのでさばきやすかったです。
初めはどこに包丁をいれれば綺麗にさばけるのか分かりませんでしたが、5つの鰓(エラ)に沿って包丁を入れれば無駄なく綺麗に肉をさばけることが分かりました。
【手順➁】腹を割いて肝を取り出す
包丁の刃を立てると肝を傷つけてしまう恐れがあるので、慎重に開きましょう。
途中包丁が進まなくなると思いますが、その部分には骨があるので出刃の刃を当てながらもう片方の手で包丁の背を叩いて骨を切断しましょう、
エイは軟骨魚類の仲間なので、その名前の通り硬い骨はありません。
全長1.3mと大きい個体ですが、力のない子供でもさばけると思います。
腹を空けてみると、「内臓のほとんどはこいつか??」と思うくらい大きな肝が出てきました。
直径だけで言えばバレーボールくらいありますが、食べれるとのことなので一応持ち帰ります。
ということで、巨大なヒレ2枚とデカすぎる肝を持ち帰ることになりました。
【手順➂】体表のぬめりを取る
ナマズやウツボ同様に、タワシを使えば簡単にヌメリを取り除くことができます。
しかし、一度ヌメリ取りに使用するとタワシの奥の方にヌメリが入り込んでしまい洗ってもなかなか取れなくなるので、専用のタワシでないならばあまりおすすめはしません。そんな時におすすめなのが、包丁でヌメリを取る方法です。
タワシほど完璧には取れませんが、お金をかけずに済みます。
断面の身につかないようにこそぎ取っていきましょう。
【手順➃】ヒレの軟骨に沿って3枚におろす
エイのヒレには真ん中に大きな軟骨が一枚横たわっているので、この軟骨に沿って3枚におろしていく必要があります。
軟骨の上を滑らすように包丁の刃を当てていくと上手くおろせます。
ヌメリですべってさばきにくいという方は、キリやアイスピック、目打ち釘などで固定すると非常にやりやすいです。(木のまな板使用者に限る)
これで、軟骨1枚とヒレ2枚の3枚卸が完成です。もう片方のヒレも同じようにして捌いてください。
【手順➄】皮はペンチで剥ぐ
エイの皮の剥ぎ方をネットで調べたところ、ペンチで剥いでいる方がいたので真似してみました。
比較的力を必要とする作業なので、1人でやるとくたびれます。でも頑張ってください。
身体の大部分を占める「胸ビレ」とは別に、尾の付け根にある「腹ビレ」にも肉がついているので逃さないよにしましょう。
仕上げ:苦玉の処理と精肉
順当にさばいていくとこんな感じになります。奥に置いているのが胸ビレや腹ビレの軟骨です。
手前に置いているのが、軟骨を除いた肉の部分ですね(まだ皮を剥いでいないヒレもありますが)
他の魚と同じようにアカエイの肝にも、苦玉と呼ばれる「胆嚢」が入っています。
呼び名の通り、とっても苦い汁が入っているので絶対に破らないように取り除きましょう。
軟骨はとても柔らかく、揚げれば美味しく食べることができるので、外側のヒレの残りを取り除いてキープします。
エイは可食部位の割合が大きい上に個体そのものが大きいので、様々な料理を試すことが出来ます。
軟骨魚類の仲間とはいえ、キッチンペーパーなどで水気を取り、ジップロックに入れて冷凍保存すれば2.3日は持ちます。
自分は実際、さばいた4日後に調理し、10人を超える料理会に出しましたが「アンモニア臭い」というクレームは1人からも来ませんでした。(ただし刺身を除く)
生食や4日後の刺身に関する味の感想を、後編の「アカエイの食べ方記事」に記載します。
今回のエイはかなり大きく、ヒレと肝だけで8キロありました。体重は推定15キロです。
最後に
今回は、堤防の外道として有名な「アカエイ」の締め方やさばき方についてご紹介しました。
軟骨魚類の仲間であるエイは、死ぬと早い段階で血液中の尿素がアンモニアに変わって特有の臭みが出るためあまり市場には出回りませんが、食べる部分は沢山あるうえに美味しいので実はかなりポテンシャルの高い食材です。
外道釣りは釣り人の特権なので、積極的にエイを釣ってさばいて食べてしまいましょう!
おわり