この記事にはアメリカナマズを捌く(さばく)過程の画像が含まれています。また、血や内臓といったグロテスクと捉えられるものが含まれているため、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
今回は、特定外来生物「アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)」のさばき方について解説していきます。
ナマズと違いアメリカナマズの背ビレと胸ビレにあるトゲが非常に硬いです。
トゲを取り除くのに苦労したので、これからアメリカナマズを初めてさばく予定のある方はぜひ参考にしていただけたら幸いです。
アメリカナマズに関する注意事項:外来生物法
アメリカナマズを食べようと考えている方は当然のように知っているとは思いますが、一応確認しておきます。
アメリカナマズは環境省によって「特定外来生物」に指定されているので「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(通称:外来生物法)」によって生きたままの運搬が禁止されています。
捕獲したその場で絶命させれば持ち帰って食べることができるので、アメリカナマズを食べようと思っている方は必ずその場で絶命させてください。(できるだけ苦痛を与えないように配慮することが望ましいです)
アメリカナマズのさばき方
【手順➀】必ず現地で絶命させてから運搬する
先ほども言いましたが、特定外来生物に指定されているアメリカナマズを持ち帰って食べる際は、現地で〆る必要があります。必ず絶命させた状態で持ち帰りましょう。
【手順➁】背ビレと胸ビレを取り除く
アメリカナマズをさばく前に取り除いておきたいのが、背ビレと胸ビレです。
これら2つのヒレには硬く鋭いトゲがあるため、切り離しておかないとまな板に水平に置くことができません。
今回捌くアメリカナマズはもうすでに絶命しているので危険ではありませんが、生きている状態のアメリカナマズを現地でさばく場合は、ナマズが暴れて鋭いトゲが手に刺さる恐れもあります。
生きていようが死んでいようが、いずれにせよヒレのトゲは切断しておいた方がいいでしょう。
キッチンバサミだけだと簡単に切断できませんでした。出刃包丁やハンマーなどがあると比較的スムーズにトゲを折ることができます。
金切りバサミがある人は、その道具を使った方が簡単に切断できると思います。
【手順➂】大量の塩でぬめりを取る
100円ローソンに売られている500gの塩があれば十分です。
皮は丈夫なので思いっきりこすっても大丈夫です。手に体重を乗せてゴリゴリとこすってください。ぬめりと共に黒い表皮が取れて次第に塩が黒くなっているのがお分かりいただけるでしょうか。
塩でこすった部分が真っ白になりました。日本のナマズをこすった時の同じように真っ白になりました。
黒かった部分は表皮だとおもうのですが、生息地の環境によっては川の汚れもたっぷり溜まっていると考えられるため、皮も食べたい人は必ずぬめりと共に表皮も削っておきましょう。
【手順➃】内臓を取り除く
ナマズの肛門(尻ビレの間にある)から出刃包丁の切っ先をいれて包丁を進めていけば、内臓を傷つけることなく腹を割くことができます。
写真中央下に写っている黒い塊はアメリカナマズの糞。強烈な臭いがするので胃袋や腸は割かないように気を付けましょう。
アメリカナマズの内臓を並べてみるとこんな感じです。今回は内臓は食べない方向でいきます。
【手順➄】目打ち釘でナマズを固定する
表面のぬめりをとったといっても、頭やヒレなどの細かい部分を気にすると完全にはぬめりを取り除けません。
そのため、目打ち釘を使って木のまな板にナマズを固定すると非常にさばきやすくなります。
目打ち釘がなくても、アイスピックやキリがあれば代用できます。
本来、ナマズの両目を横一直線に目打ち釘を通すのですが…。あれ、アメリカナマズの骨格なんかおかしいぞ。
アイスピックが通らない…ッ!
角度を変えて何度か試してみたのですが、どうやってもアイスピックが通らない。途中に頭骨があってガンガン当たってしまうといった感じだ。
目に通すのは諦めて下あごに通して固定してみるが、アメリカナマズは下あごよりも上あごが出っ張っているため釘が斜めにしかささらない。
全く持って上手く固定できない。なんじゃあぁあ!
辿り着いた最適解
アメリカナマズを木のまな板に固定することにすべてのパワーを投じ、辿り着いた結論がこれ。エラの隙間からアイスピックを通して固定するというもの。
これから3枚おろしにするわけだけど、別にエラの部分に出刃包丁は入らないので問題ない。
【手順⑥】3枚おろしにする
まずは、エラにある硬い骨を避けるようにして出刃包丁を入れていきます。
次に、中骨に沿うようにして上身に切れ目を入れていきます。背骨にカリカリカリと当たるようにギリギリを切っていくのがポイントです。
尾まで切り進めたら、出刃包丁の向きを90°回転させて背骨から半身を切り離します。
次は、硬く太い背骨を切断して、骨だけを切り離していきます。
アメリカナマズの骨がどこも硬いので、ハンマーを駆使しながらさばくとやりやすい。
こんな感じに出来ればOK
最後に半身と頭部を切り離して3枚おろしは終了です。
ここで、アメリカナマズの身が黄色いことに気づく。特にヒレに近い部分が黄色い。なぜ…?
野生食材で黄色いというと脂肪を思い浮かべるのですが、どうなんだろう。
【手順⑦】腹膜や残ったヒレを取り除く
内臓をくるんでいた腹膜は汚いイメージがあるので今回は取り除きます。
腹骨を漉きとるようにして出刃包丁を入れれば両方が一気に切り取れます。
ヒレの部分も骨が多く臭いので取り除きましょう。
これで精肉状態です。お疲れさまでした。
【手順⑧】すぐ食べないなら水気を取って冷凍して終わり
キッチンペーパーなどで臭みの原因となる水気を取っておきましょう。
冷凍対応可能なジップロックに入れ、冷凍すれば完了です。
最後に
今回は、特定外来生物であるアメリカナマズのさばき方を解説しました。
木のまな板や目打ち釘など、現代の一般家庭にはあまり馴染みのない道具も使いましたが、なくてもさばけます。ただ、あったほうが各段にさばきやすいというものです。
ナマズだけではなく、ウナギやライギョ、コイ、ウツボなどの比較的大型の魚、ぬめりのある魚をさばく予定のある人は大型の木のまな板を購入されることをおすすめします。
おわり