こんにちは、野食家のガリオです。
- 雷魚(ライギョ)・カムルチーって食べれるの?
- 雷魚(ライギョ)・カムルチーのさばき方を知りたい
- この前偶然釣れたけど、食べれるならさばいて食べてみたい。
そう思っている方に向けてこの記事を書きました。
生きたままの状態から、〆て下処理をして精肉にするまでの流れを写真付きで解説していきます。
写真を撮りながらさばくのは想像以上に手間がかかったんですけど、分かりやすく記事を仕上げることが出来たので、雷魚(ライギョ)をさばくときの参考にしていただけたら幸いです。
https://gario01.com/snakehead-parasite-nematode/
雷魚・カムルチーとの出会い ~茨城県霞ヶ浦の支流~
3月の中頃、茨城県の霞ケ浦水系に、院生の先輩をはじめとした研究室のメンバーと魚取りに来ていました。
狙いは特になかったのですが、アメリカナマズを獲って食べようと思っていた僕は、さで網という大型の漁具を用いてガサガサ(漁法のひとつ)を行っていました。
深夜の2時から釣りやガサガサをしていた僕は、朝4時にしてようやく1匹目の魚をゲットします。
まさかの大物に興奮した僕は他のメンバーとこの喜びを共有したかったのですが…。
僕を除く6人のメンバーは、日ごろの疲れと運転の疲れから車内で完全に寝てしまっていました。車の窓を激しく叩いて”雷魚獲れたよアピール”をしても全然車から降りてきてくれないので、すっごい寂しかったです。
1時間後の朝5時に、院生のR先輩が起きてきたので写真を撮ってもらいました。
体長はおよそ60㎝の良い大人サイズでした。大きいものは80㎝もの大きさになるらしいのですが、あまり大きいとさばきにくいのでこのサイズでOKです。
雷魚(ライギョ)・カムルチーとは熱帯起源の大型淡水魚
分布 | 原産地は中国北部と朝鮮半島。移植により日本各地に点在 |
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生態 | 水草が茂り、水の流れがない「農業水路、ため池、浅い湖沼」などに生息する。空気呼吸が出来る特殊な魚のため、酸素が不足しやすい水温の高い水域でも生存が可能。 産卵期は5月~8月。大型の肉食魚でクセが無くとっても美味しい |
正確には「雷魚(ライギョ)」という魚は存在しません。タイワンドジョウ属の以下の2種の総称として日本では「雷魚(ライギョ)」と呼ばれています。
- カムルチー
- タイワンドジョウ
ちなみに今回手に入れたのは「カムルチー」の方です。カムルチーの特徴は、体の側面につく大きな斑紋や細長い体です。「タイワンドジョウ」は、小さい斑紋や太く短い体が特徴です。
雷魚(ライギョ)・カムルチーのさばき方・手順
これからライギョのさばき方を解説していきます。順番はこんな感じです
ライギョGET
⇩
その場でエラと内臓除去
⇩
氷水クーラーでお持ち帰る
⇩
家でさばく(完了)
他にも方法はありますが、ライギョは寄生虫の宝庫なので早めに内臓を取り除いておくことをおすすめします。
【手順1】出刃包丁の背で失神させ脊髄を切断し絶命させる
まずはじめに、出刃包丁の背で雷魚(ライギョ)の頭を叩いて失神させてください。
最初に出刃で優しくたたいたら「カンカンッ」といった音がしたので、ライギョの頭はかなり硬いです。
と思いながら思いっきりやってもすぐには失神してくれなかったので、自分が思っている3倍は力強く叩いてください。
魚の痛覚の有無に関しては学者の中でも意見が割れていますが、やはり一瞬で失神させた方が自分のためにもなります。
ライギョが失神したら、包丁でライギョの脊髄を切断して絶命させてください。一度失神させたのは、そうしないと暴れて上手く包丁が刺さらないからです。
【手順2】傷みやすいエラをペンチで取り除く
ライギョを絶命させたら、傷みやすいエラを取り除いてください。包丁を使ってエラの接合部を切断し取り除く方法でも構わないのですが、なにやらライギョのエラは骨のような物質が付いている構造(原始的なエラのなごり?)だったのでペンチでバキバキ剥がずことにしました。
一気に剥がすことが出来なかったのでかなり時間がかかりました。うまくやれば出刃包丁でキレイに取れそうなので改善の余地ありです。
【手順3】包丁で腹を割いて傷みやすい内臓を取り除く
エラのほかに傷みやすい部位があります。「内臓」です。出来ることならライギョを獲ったその場で取り除きましょう。
内臓には高い確率で寄生虫がいるのですが、本体(魚)が死ぬと内臓から筋肉(人が食べる部分)に移動してくることが論文でも分かっているので、出来るだけ早く内臓を除去しましょう。
「新鮮な魚を食べよう」と言われるのは、寄生虫のリスクを回避するという意味もあるからです。
ライギョの肛門から出刃包丁の切っ先を入れて、内臓を傷つけないよう頭側に切り開いていきます。写真に写る僕の左人差し指の横に黒い小さな物質があります。あれはめっちゃ苦い胆のうなので決して破かないでください。身が汚れてしまいます。
尾の先まで内臓が詰まっているので、全身の腹を切り開いで内臓を取り除いてください。
川の水でエラの部分や腹腔内についた血を洗い落とす
エラがあった部分や内臓を取り除いた腹腔内が血で汚れているはずなので、川の水で洗い流しましょう。血をそのままにしておくとキレイな白身に血が染みて血なまぐさい味になってしまうので必ずキレイにしておきましょう。
氷水の入ったクーラーボックスに入れて持ち帰る
もし余裕があるならば、エラと内臓を抜いたライギョを氷水が入ったクーラーボックスに入れて持ち帰ってください。
これは、僕が考える最も鮮度を保つことが出来る方法です。
まぁ、氷買うのに1000円くらい消費したんで馬鹿にならないです。計画的に家で氷を作ってもってくのが一番良いですね。
【家に到着】簡易的な青空キッチンを改設
母親から「ウロコが飛び散る!臭いがうつる!」と言われ、急遽青空キッチンを始めることに…。(これはこれで楽しい笑)
【手順4】出刃包丁の背でウロコをはぎ取る
出刃包丁の背を使って、ウロコを剥がしてください。
尾びれの方から頭にかけて、ウロコを逆なでするように包丁を激しく動かすとウロコが飛び散りながら剥がれます。
でもやっぱりウロコ取りが欲しい…。
包丁でもたしかにウロコは取れるんですけど、これがめっちゃしんどい。ライギョはヌメリで滑るわ、包丁の背は思うようにウロコに引っかからないわ。腕は疲れるわ…。
ライギョが滑るのは関係ないけど、包丁の角度が悪いと全然ウロコがはがれないから専用の調理器具を買うべきだと思った。
これが欲しい。なんか飛び散らなそうだし安いし
【手順5】胸鰭の裏から背骨に当たるまで出刃包丁を入れる
ライギョのウロコが取れたら、胸鰭の下に出刃包丁を入れて一番太い骨(背骨)に当たるまで出刃包丁をおろしてください。
こんな感じで、背骨に当たるまで切れていればOK
【手順6】尾の方から背骨に沿って背中半分を切り開く
次に、ライギョを反転させてください。尾の方に包丁を当て背骨に沿って上半分の身を切っていきます。
出来るだけ背びれに沿わせることで、無駄に身を削ることなくおろすことが出来ます。
【手順7】出刃包丁を寝かせながら半身を切り取る
最後に、背骨から生えている腹腔をバキバキと音を立てながら切り離していきます。
バキバキバキバキィ…ッ!
出刃包丁を寝かせながらやると、骨に身がもっていかれません。僕もまだ完ペキではないですが慣れてくるとそこまで難しくはありません。
半身を切り離したものがこちらです。これから背骨を漉き取って3枚おろしを完成させます。
【手順8】背骨だけ断ち切り、包丁を寝かせながら切り取る
背骨は堅いので、よく切れる出刃包丁じゃないと苦労します。
バキッ
バボギギッ
ギギギギ…ベキベキッ
この写真を見ると左手で背骨をおもっきし握ってますが、切断された腹骨がとがっているのでバチクソ痛いです。なんならゴム手袋破けました。
みなさんは軍手とか使った方が良いかもしれません。
別の方は、出刃包丁を使わず「キッチンハサミ」を使って腹骨をバキバキ切断して3枚おろしにしていたのでその方法も簡単で良いと思います。
苦しみながら背骨を切り離したものがこちらになります。キレイな白身ですね。
【手順9】頭部と胴体を切り離す
背骨を切り離すことが出来たら、※頭を落としてください。
※頭を残す必要があるのは「目打ち釘」を使う場合なので、目打ち釘を使っていない今回はもっと早くに頭を落としてもOKです。
【手順10】各部位の鰭(ヒレ)を切り取る
鰭(ヒレ)はヌメリもあり臭みの元なので取り除きます。
背ビレと尻ビレが残っているので、すべて取り除いて下さい。
【手順11】内臓が触れていた腹腔と腹骨の部分を切り取る
次に、腹骨を取り除きます。腹腔の部分も内臓が触れていた部分なので取り除きます。
出来るだけ身をそがないように、すき取る感じで切り取ってください。
下手クソなりの結果です。ご査収ください。
【手順12】軽く水気(ドリップ+流水)をふき取る
流水で身がビチョビチョになっているので水気をふき取ってください。魚の身から出るドリップ(旨味成分)も残しておくと臭みの原因になるので重ねてふき取りましょう。
【手順13】残った小骨を毛抜きで抜く
取り除き忘れた腹骨があった場合は、毛抜きかピンセットで取ります。小骨があるとないとではかなり違うので大事な作業です。
【手順14】ジップロックに入れて冷凍保存して終わり
最後は冷凍に対応しているジップロックに入れて冷凍保存して終了です。これでいつでも好きな時に食べれます!
背骨と頭も鍋に使えそうなので取っておく
まとめ
今回は、初心者の方でも分かりやすい雷魚(ライギョ)・カムルチーのさばき方をご紹介しました。
食用とされていただけあって、肉の量もたくさんあるのでガッツリ野食したい人におすすめです。
終わり。
https://gario01.com/snakehead-parasite-nematode/