「サメ」と聞くと、船を出さないと釣れないようなイメージがありますが、福島県の小田浜港は「トラザメ」がよく釣れることで有名です。
トラザメは水族館のタッチプールにいるサメと同じなので、比較的なじみのあるサメだと思います。
そこで実際に福島県小田浜港で釣りをしたところ、狙い通りに釣ることができました。
ということで今回は、小田浜港で釣ったトラザメのさばき方や刺身の味などを紹介していきます。
記事の前半はトラザメを見て触って観察しているので、さばき方を知りたい方は飛ばしてください。
まずは釣りでトラザメを捕獲する
トラザメを捕獲するには、釣りが一番手っ取り早いと思います。
キス針にイソメ付ければ簡単に釣れます!
トラサメの詳しい釣り方に関しては別記事にて解説するのでしばし待たれよ。
さばく前にちょっと触って観察
口に指を入れてもいたくない
指がちぎれるような見た目はしてなかったので指を突っ込んでみました。
一応サメの歯なのでカエシ状に並んでおり、引っかかると痛いには痛いんですけど…ぶっちゃけしょぼい(笑)
そもそも歯が小さい上に、トラザメ自身の噛む力が弱いのでこちらから強く押し当てて引き裂かない限り傷がつく様子は無いです。
これだったらナマズのヤスリ状の歯の方が握った時に断然痛いです。
サメ肌で皮膚を削るとまぁまぁ痛い
サメ肌はただのザラザラ肌ではない。もう少し拡大して観察してみよう。
アウトドア専用デジカメの顕微鏡モードで拡大してみると、非常に小さくて細かい突起が所狭しと皮膚から生えている様子が分かる。
この非常に小さくて細かい突起がサメ肌の正体だ。
指を軽くなぞれば引っかかり、強引に進めようとすると皮膚を切り裂く。
素手で5本指を使ってがっしりキープする持つ分には支障はないが、指で素早くなぞろうとすれば傷を負うのはあなたの方だろう。
ちなみにこの顕微鏡モードを使えるのはOlympus製のデジカメ「TG-5」だ。
今は新モデルの「TG-6」が出ているが、このカメラはアウトドアカメラの中で最も高機能、高性能といっても過言ではないだろう。
フィールドワークに携帯するのに最適なカメラなのでレビューも書いた
オスは生殖器(クラスパー)が2つある
この情報は今回初めて知ったのだが、サメのオスにはクラスパーと呼ばれる生殖器(ちんこ)が2本付いている。
理由ははまだよく解明されておらず、「生存に有利だから説」と「1対の腹ビレが変化した説」という2つの説が唱えられているらしい。
ソースはここ→なぜ「アソコ」が2本ある?サメの驚きの生殖方法に迫る
トラザメのさばき方
それでは、いよいよさばき方に入っていきたいと思います!
【手順➀】脊髄を一瞬で切断して絶命させて血抜き
目と目の間から2㎝ほど体側に寄った場所に出刃包丁を刺して、脊髄もろとも脊椎を切断し絶命させます。
最近では魚類にも痛覚があるという見解が広がりを見せているので、できるだけ素早く殺しましょう。
絶命させたら頭を下にしてできるだけ血抜きをしてください。
エイやサメといった軟骨魚類の血液中には、浸透圧調整に使われる「尿素」が含まれています。
時間が経つとこの尿素が人にとって害のある「アンモニア」に変化し、肉が酸っぱくなってしまうので血抜きは出来るならしたほうが良いです。
【手順➁】肛門に包丁を入れて腹をひらき内臓を取る
包丁の切っ先を肛門の穴から入れて腹をひらきます。
サメ肌のせいか皮がかなりしっかりしていて切りにくいので、皮をピーンと張り緊張させたまま包丁を進めると切りやすいです。
腹をひらくと内臓はこんな感じ。
写真中央の緑のまるっこいのが入っているのが卵巣で、その丸っこいのが卵ですね。これから生む予定だったんでしょう。
写真中央少し下に移る円錐形の黒っぽいのが心臓です。
心臓の右にある金玉の袋のようなものが胃、反対の左にある細長い白い袋が腸だと思われます。
白い塊が入っているこの2本は、おそらく「卵殻腺」と呼ばれる内臓器官です。続いている紐は「輸卵管」ではないでしょうか?
J-Stage-トラザメにおける視床下部ー下垂体ー生殖腺系とその機能遺伝子探索を参考にしました 黒い肝臓に包まれていたのは胆のう(苦玉)です。これを破ると苦い汁が出てきてしまうので注意しながら取り除きましょう。
内臓を抜いたら腹腔内の血を海水で洗って、次は3枚おろしに入っていきます。
【手順➂】3枚おろしにする
胸ビレの下に包丁を入れて、中骨に当たるまで真っすぐ下に落とします。 中骨まで包丁を落としたら、刃の向きを90度変えて腹骨を切りながら半身を切っていきます。
半身を切り落としたら、トラザメを裏返してもう片方の半身も同じようにおろしていきます。
これで3枚おろし完了です!
【手順➃】内臓を包んでいた腹膜を取り除く
腹膜は内臓を包んでいた部分で汚れているので包丁で切って表面を取り除きます。
包丁の刃で腹骨を立たせながら進めると切りやすい
【手順➄】皮のすき引きをする
皮は硬くて食べにくいので、皮のすき引きを行います。
数センチ身を切ってしまってもいいので、半身の端から包丁の刃を斜めに入れ、皮に押し当てながら皮と身を分離させていきます。
包丁で切るイメージではなく、刃は皮に当てながら固定させてください。
左手で皮をしっかりと持ち、左右に動かしながらグイグイ引っ張ることで、刃を動かさなくても皮と身を分離することができます。
完成するとこんな感じ!
皮のすき引きができたらトラザメの下処理は終わりです。
精肉を煮るなり焼くなり好きにして食べましょう。
刺身で食べてみた感想
釣りたてのトラザメはキレイな白身をしていますが、食感はタイのような白身魚とは全く異なります。
エイを食べたときのも感じましたが、やはり独特の噛み切れない歯ごたえがある。責任負いたくない政治家みたいに歯切れが悪いんですよねー。
これは軟骨魚類特有の肉質なのかもしれない。
ちなみに、釣ったばかりということもあってかアンモニア臭はしません。
食感にこそクセがありますが、味の方は特にクセもなくちゃんと調理すれば食べやすい食材だと思います。
最後に
今回は福島県小田浜港で釣ったトラザメのさばき方や刺身の味をご紹介しました。
本当はちゃんと調理した記事も書こうと思っていたのですが、トラザメの肉を実家の冷凍庫に置いてきてしまったのでまだ食べれていなんですよねー。
コロナ収束して実家に戻れたら焼いて食べてみます。
おわり!